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風力発電

  • 2020年08月24日

 先週、渡島檜山管内の各自治体首長と道政に関わる懇談会を行い、松前町では、懇談会終了後に、東急不動産100%出資の「ReENE」松前風力発電所を視察してきました。 ReENEの担当者の話では、松前町館浜地区から清部地区に至る約15kmに12基の風力発電施設と蓄電池施設を有し稼働している実用型施設としては、今のところ全国一の規模だそうで、発電能力は4万kw平均的家庭の1万3,000世帯分に相当し、今後も、洋上風力を視野に拡大していくとの事です。

 風力発電所と言えば騒音と低周波が問題となりますが、副町長も随行していたため、その質問はせずにバードストライクの事だけを質問しました。

 さて、風力発電と言えば、道内の石狩地域には陸上型風力発電施設が既に多く設置されており、今後は洋上風力発電が注目され、道新によりますと既に発表されている計画は5社で、コスモエコパワー100万kw、グリーンパワーインベストメント30~50万kw、インフラックス133万kw、シーアイ北海道100万kw、JERA52万kwとなり、総発電量を単純に合計しますと最大435万kwにものぼり、北電の原発を含めた総発電設備781万kw、原発を除く574万kwに迫ろうかという程です。

 現在は、道内の需給に20%以上の余裕があり約460万kwで、夏や冬の需要期でも原発無しで十分に対処できますが、火力発電においては石炭比率が高く、CO2削減のために世界は再生エネにシフトしており、石炭火力発電は国が廃炉を求めており、必然的に道内では太陽光や風力、バイオ、地熱、水力発電などが増えていくことになります。

 無論、原発は無用の長物となるでしょう。

 さて、肝心な話です。

 先ほど、風力発電によるブレードの騒音と低周波が問題だと書きましたが、まずは騒音ですが、「週刊金曜日」に環境ジャーナリストの加藤やすこさんが寄稿した「秋田県沿岸部で睡眠障害約1,000人の予測」によりますと、《千葉工大が環境省の委託を受けて調査したところ、ブレードの風車音が41dB(デシベル)以上だと、睡眠障害を受ける人が統計的に有意に増え、風車音と不眠症に関連性がある事が判った。

 北大大学院工学研究院・田鎖順太助教が過去の研究を基に秋田県沿岸で起きる健康被害を予測。沿岸部住民約60万人のうち、家の中でも風車音が聞こえる人が10万人、圧迫感・振動感を感じる人が約3,000人、睡眠障害が約1,000人発生すると推計。

 コスモ石油グループのコスモエコパワーは石狩湾洋上に8~12MW(メガワット、1MWは1,000kw)の風車を最大125基設置し、水深50m以内の海域には着床式を、50m~200mの海域には浮体式を設置する。

 洋上風車は、発電した電力を陸上に送る海底送電線、洋上変電所、風向や風力のデーターを監視し遠隔操作を行うケーブルも敷設される。

 洋上風車が盛んなヨーロッパでは大陸棚で水深が浅い北海に約60%が設置されており、イギリスとドイツの洋上風車はそれぞれの沿岸から103kmも離れている。

 日本は海底の地形が急峻で、水深20m程の浅瀬は海岸から平均0.9kmの範囲に限られるため住宅地に近い沿岸や港湾部での設置が進んでいる。

 41dB以下なら睡眠障害が起こらないとは限らず、予防するためには数十km単位で沖合に移動する必要がある。

 また、洋上風車が稼働した場合、周波数100Hz(ヘルツ)の低周波音が最も多く発生するが、マダイの稚魚を100Hzの水中音に晒すと給餌行動が抑制された。

 さらに、一般的な海底送電線からは地場が発生されており、海外での研究ではサケやマス、ウナギは地球から発生する自然の磁場を利用して回遊するので、磁場の影響を受けやすくサメやエイなどの軟骨魚類、エビやカニも電磁場に敏感だ。

 加えて、海底ケーブルによって底引き網漁が制限されたり、魚種の交代が起こる可能性も指摘されている。

 したがって、様々な課題ごとの環境アセスが必要である事は論を待たないが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は風車の設置やアセスの方法を示している一方、低周波や磁場については具体的な調査方法が確立していない。≫と指摘しています。

 JERAでは、海洋風力発電の「促進地域」である秋田での建設も計画しています。

 再生エネの拡大は時代が求めているものであり、当然推進していかなければなりませんが、これら人や魚類への影響を最小限にするために、環境アセスは徹底的に行い、住民理解を十分に得てから着工してほしいと思います。


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