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衆議院選挙の無効

  • 2013年03月26日

昨日、広島高裁において、先般行われた衆議院選挙は1票の格差が解消されずに実施されたものであり、小選挙区の区割りを違憲とし、提訴されていた広島1・2区の選挙を無効と判決し、11月まで猶予を与えました。
そして、今日は、広島高裁岡山支部においても岡山2区の選挙を無効とし、即刻、選挙のやり直しを求めました。
ご存じのとおり、昨年の衆議院選挙以前から1票の格差が全国的な問題となり、当時の民主党政権は格差是正に取り組むとして、まずは山梨県、福井県、徳島県、高知県、佐賀県の区割りを3から2に是正、いわゆる「0増5減」と併せ、消費税導入の前提として衆議院定数も削減することを提案、当時の党首討論で野田前総理が自民党安陪総裁にこのことを迫り、速やか定数見直しを行うことを約束するならば衆議院を解散すると言明しました。
本来は、解散前に、1票の格差是正を行わなければならなかったのは当然であり、これまで何度も何度も司法の場において「違憲状態」が指摘され、是正を求められていたことから、前政権内ではこのまま衆議院選挙に突入すれば、「選挙無効」は免れないのではというのが全体の空気だったはずです。
当時は、1月に開会される通常国会で「0増5減」の法改正を行い、区割りを是正し、告知期間を設けてから解散、指摘されている違憲状態をとりあえず解消する。
それには、法改正および区割りの是正に約3ヶ月、告知期間が1ヶ月必要で、最短で4ヶ月かかることから、解散は通常国会の会期末の6月で、7月の参議院選挙と併せた衆参ダブル選挙というのが民主党内での想定であったと思います。
それが、解散時期を誤った野田前総理の唐突な解散で、吹き飛んでしまいました。
そして、想定通り衆議院選挙の「無効」が司法から言い渡されました。
広島高裁と岡山支部は国会に鉄槌を与えましたが、これ以上国会が司法をないがしろにすれば司法・行政・立法の「三権分立」が瓦解することになりかねません。
一方、政府の「選挙区確定審議会」は、当該5県の他に人口の少ない青森県、岩手県、宮城県、茨城県、和歌山県、愛媛県、長崎県、熊本県の8県と、人口が2倍を超える千葉県、東京都、神奈川県の3都県の選挙区割りを変えることを28日に勧告する予定です。 こうなれば、違憲と判決された選挙区は当然として、訴訟を起こされていないにしても基準からはずれている選挙区は選挙をやり直すのが、まさしく憲法の求める「法の下の平等」であり、憲政の常道と思います。
しかし、全国的には地方と都市部の人口格差が拡大しているのが現状です。
これまでは一票の格差があってはならないということが当たり前であり、その是正が求められていましたが、それでは、地方の代表としての議員数が減少し、都市部の議員が議席の多くを占めることになります。
「国会議員は全国的な視野で国政を担うのが責務である」というのは理想で、都会の議員には地方の課題を理解してもらうのは難しいものと思います。
それは、今回のTPP交渉参加問題をみても判るように、北海道の事情は北海道の議員でなければその深刻さを判ってもらえません。
議員はそれぞれ選挙区の有権者を大事にするものです。都会は都会の、地方は地方の。
従って、人口が全国的に等しく均(なら)されていれば別ですが、人口格差が大きくなりすぎている背景を考えると、1票の格差解消だけでは地方と都市部の国民が、全ての恩恵を平等に受けることに繋がるとは思えません。
道議会においても、「議員定数の見直しと選挙区のあり方」について有識者と意見交換を行い、政令都市である札幌市の選挙区の議員数増と人口減の地方選挙区の議員数減について、人口要件だけではなく面積要件を導入することができないかという議会側の問いに対し、有識者からは「法の下の平等における1票の重みを覆す論理が有るならば教えて欲しい」と言われました。
1票における「法の下の平等」は当然のことでありながらも、過疎地の声をどのように政治に反映するのかという難しい問題もはらんでいることを忘れてはいけないと思います。


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