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社会資本の老朽化

  • 2018年08月30日

 14日にイタリアで起きた高速道路高架橋の崩落事故は、39人が死亡するという大きな事故となりました。

 この事故を、私たちは「対岸の火事」にように、他人事と受け止めてはいけません。

 この高架橋は築50年以上経過していたということですが、日本はどうか。

 日本では高度成長期に多くの公共事業が実施されてきました。

 その最たるものが、1964年開催の東京オリンピックに向けた新幹線開業と首都高速道路の建設でした。

 高度成長期は1955年から1973年頃までがピークとなり、様々な公共事業が行われてきたことは皆さんご存じの通りです。

 一般道、高速道、高架橋、橋梁、トンネル、ダムなどの建設、河川改修、空港、港湾整備、様々な社会資本整備が景気刺激策として実施され、、さらに1985年のプラザ合意による円高が契機になり、私の記憶が正しければ米国から約400兆円にも及ぶ公共事業への圧力とそれに関わる原材料の輸入が求められ、結果として様々な公共事業を実施、1986年から1991年にかけてのバブル景気となったこと、そして、その後の反動から景気低迷を招いたことが思い起こされます。

 公共事業の9割が上記の社会資本整備となっていることは、周知の事実であり、戦後からこれまで営々と積み上げてきたこれらの社会資本は、民主党が政権を受け持つことになった時点の2011年で総額・約800兆円にも及んでいるようです。

 14年度単年度で公共事業費が48兆円、これはピークの92年での84兆円の約4割減となっています。

 民主党政権では、「コンクリートから人へ」と予算の流れを変えましたが、自民党政権に移っても、その方向性は若干とはいえ受け継がれてきたのかも知れません。

 自民党政権は、何時の時代も景気浮揚と称して公共事業を政策の1丁目1番地に据えてきましたが、よく考えて見なくてはならないのは、これら社会資本のメンテナンスです。

 冒頭にイタリアの高架橋の事に触れましたが、日本の社会資本も高度成長期から優に50年以上経過しました。

 仮に積み上げてきた社会資本を11年度で凍結し、今後は、そのメンテナンスに視点を移したとして、年間40兆円をメンテナンス予算につぎ込んでも800兆円分のメンテナンスに20年もの歳月がかかります。

 既に、国交省の調査では、全国には73万の橋梁があり、このうち現在築50年経過しているものが23%に達し、10年後には48%の約35万の橋梁が50年に達します。 さらに、恐怖なのは、73万の橋梁の三分の一が建設年度不明となっていることです。 イタリアの事故の例を見ても、築50年を経過している橋と建設年度が不明の橋の合計約40万の橋梁はいつ崩落してもおかしくないのです。

 首都高は全長320kmのうち築40年以上が4割、30年以上が6割で、76%が高架橋となっており、大型車の通行量が都内一般道の5倍にもなっっているとのこと、加えて、業務の委託が進み、行政の中に建設関連の専門家がいなくなったことも問題で、どこの橋から手を付けていいの判断がきかなくなってきています。

 さらに、建設技能をもった労働者も激減という現状の中に日本が置かれていることを考えると、「待ったなし」の状態にあるということを国民共通の認識にしなければならないのではないでしょうか。


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