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泊原発への回帰?

  • 2018年09月09日

 函館に帰れず、明日から始まる道議会第3回定例会の準備をしています。

 昼過ぎに、駅地下のエスタが開いていることを確認し、夕食の材料買出しに行きました。

 その帰り際、駅西口の紀伊國屋書店前で、誰かが街頭演説をしていました。

 近寄ってみると、○○会議と大描きされた幟(のぼり)と日の丸の旗を背に、マイクを握って、大きな声で今回の胆振東部地震のブラックアウトについて、自らの考えを主張していました。

 その演説の要点は「皆さん、今回の地震によって北海道の全電源が停止したブラックアウトという現象が起きてしまいました。それによって様々な影響が私たちに襲いかかり、生活の根幹が脅かされたのです。

 電気が無いと言うことは、現代社会では考えられないことです。二度とこういう事が起きてはならない。そのためには二つの選択肢しか有りません。

 一つは、大きな発電所に頼らず、中小の発電所を全道あちこちに建設する。

 しかし、そのためには大きな費用がかかります。当然その費用は電気を使っている私たちが電気料金に上乗せされますが、それはしかたがありません。

 もう一つは、今止まっている「泊原発」を稼働させることです。

 ナゼ、規制委員会は再稼働させないのだろうか。・・・」というような内容ですが、バカバカしくなって、その場を離れました。

 やはりこういう方が街頭に出てきました。災害に便乗して人心をあらぬ方向へと印象操作する。

 震度2で外部電源が止まってしまう泊原発を再開しろと言うこの方は、その会が主張する美しい日本の将来を、そして、国民の安全を考えているのでしょうか。そして、たった二つしか方法がないのでしょうか。

 現在有る北電の発電施設は、泊原発(207万kw)を除き、重油・石炭火力発電所6カ所、水力発電所56カ所、ガス発電所1カ所、ディーゼルなどの内燃料発電所5カ所、地熱発電所1カ所などで、総出力は約581万kwとなっています。

 これらをうまく活用するだけではなく、新エネルギーなどを有機的に活用した分散自立型、スマート・グリッドやスマートコミュニティー、地産地消型の電源など多くの選択肢が有ります。

 北電は、明日から計画停電を避けるために節電を道民に求めていますし、その目標として世耕経産相は2割の節電を口にしました。協力は必要です。

 さて、今回の事故に対し元東大大学院特任教授の阿部力也氏は「全需要の半分もの大電源が突然消失した場合、それを他の発電所で瞬時に補う事は物理的に不可能です。」また、「仮に、今回の地震時に泊原発が稼働していたら、苫東厚真火発への依存度は下がっていたはずでブラックアウトは避けられた」という意見に対して、原発関係者は「泊原発が発電していて、苫東厚真への依存度が低くなっていれば理論上は全停電が避けられたかも知れません。ただ、泊原発が稼働していたらもっと大変な事になっていたと思います。

 苫東厚真が停止し、その影響で他の火力発電所が停止することで電力のバランスが崩れると、泊原発から発電された電力は「出口(行き場)」を失い、タービンが回転数を上げる。原子炉内には蒸気が溜まるので、それを排出しなければならない。その場合、制御棒を注入して核反応を抑えなければなりません。そして炉内を冷やすために冷却水を注入しなければいけない。重要なのはこれらの作業には全て電力が必要だということ。」

 しかし、今回は外部電力が喪失していました。

 仮に泊原発が稼働していたら、ブラックアウトが避けられたどころか、福島原発事故のように「全電源喪失事故」となっていたかもしれない。

 現在、規制委員会が行っている再稼働に当たっての安全審査は、全域停電で外部電源を失う事態は想定していない。今回の全域停電という事態は今後の安全審査にも影響を与える可能性が有る。」と指摘しています。

 今回のブラックアウトは、泊原発に対する三つの教訓を道民に与えました。

 一つ目は、泊原発が再稼働せずに停止したままだったから大事に至らなかったが、仮に稼働していたら、取り返しの付かない事故を誘発していた可能性があったこと。

 二つ目は、泊原発が震度2で外部電源を喪失するという脆弱な施設であることが明らかになったこと。

 三つ目は、今回の地震は、明らかになっている活断層の影響ではなく、予想も付かない隠れ活断層の活動で起きた地震であり、泊原発の近辺にも同じような隠れ活断層があることを想定しなければならないことです。


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