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水産改革に疑問

  • 2018年08月18日

 水産庁は、養殖業を含む前浜の漁業管理の「特定区画漁業権」を規制改革の対象としてまとめた「水産政策の改革案」を、総理の諮問機関である「規制改革推進会議」に諮問しました。

 その内容は、

①これまで各漁場で生業を営む漁家の集合体としての漁協に優先的に免許されていた漁業

 権の優先順位を廃止する → 漁協を優先することなく民間企業にも漁業権を与える。

②定置漁業権・区画漁業権の個別付与 → 大型の定置網漁の漁業権、共同で昆布などの

 海藻を取る共同漁業権、養殖などを営む区画漁業権を漁協が関与せず個別付与する。

③漁獲量の個別割当て制度の導入 → 漁獲可能量を漁業者または漁船ごとに割当て、割

 当量を超える漁獲を禁止する。

 などというものです。

①の優先順位の廃止となると、浜で生まれ、浜で育ち、浜で生計をたて、浜を守ってきた

 地元漁民に、当たり前のように与えられてきた漁業権の優先権が奪われることになり、

 漁業継承者が益々減少し、漁村のコミュニティーが崩壊する事が危惧されます。

 また、民間企業が漁業権を取得することになり、利益が満たされなければ撤退し、浜は

 廃墟と化してしまいます。

 一方、例えば他国が国家戦略としてダミーの日本法人を使い、短期的な採算ベースに乗

 らなくても、全国の沿岸部および水産資源と海を買い占めることも起こりえます。

 そうなれば、水産大国日本は実質的にも水産国ではなくなってしまいます。

②の漁業権の個別付与についてですが、海はその深さとも相まって、海面、海中、海底の

 それぞれにおいて魚種が異なり、沿岸、近海などの漁業方法にも違いが有ることから、

 漁協が共同管理の年間計画を作成し、年度途中での見直しも含めてきめ細かい調整を行

 い浜全体を統一的に管理・調整しています。

 そこに漁協管理外の個別企業が漁業権を得て前浜を自由に使用することになれば、浜全

 体の資源管理・調整が不可能になり、混乱を巻き起こすことになります。

③漁獲量の個別割り当て制度は、マグロやスケソウダラ、サンマでも明らかなように今で

 さえも「生物学的漁獲可能量」を科学的にはじき出す事が難しく、常にその妥当性に疑

 問符が付いているのが実態であるにも関わらず、行政がどのように個別の漁獲可能量を

 算定し、個別に割り当てて、それを管理・監視し違反者をどのように取り締まるのか明

 らかではありません。

 この改革案に対し、対応を一任された全漁連はどのように評価し・判断し、修正を求めるのかが問われます。

 このままでは11月頃に方針が固まり、国会で関連法の改正がおこなわれ 次年度の予算に関連予算が組み込まれます。

 浜と漁家、水産資源の統一的管理・調整機能を守るために、この国の水産業を規制改革の餌食にするわけにはいきません。


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