背景

ブログ月別アーカイブ

ブログ

>>前のページへ戻る

核ゴミへの曖昧な方針

  • 2020年09月12日

 寿都町、そして神恵内村、共に文献調査に手を挙げることで20億円の交付金が手に入ることに大きな魅力を感じたのでしょう。

 寿都町は、普段から泊原発近隣の自治体が原発交付金を得ていることを見ていますし、神恵内村は、泊原発が2011年以降休炉していることで交付金が減額されています。

 双方とも自治体財政がかなり厳しい状態ですが、道新によりますと、神恵内村は役場を新築することで20年度の一般会計当初予算が35億4,600万円で12年度の2.1倍、寿都町は観光施設の整備などを柱に20年度当初予算51億8,200万円で同じく12年度の1.5倍に膨らんでいると言います。

 それぞれ、これまで様々な努力を重ねて財政運営を行ってきたと思いますが、現状が続く限り、若い人の流出と高齢化は避けて通れず、産業は衰退し将来的な自治体運営にかなりの危機感を持っていたというのは、理解できますが、このように地方が疲弊してきた原因の多くは、政府が有効な手立てをうってこなかったことにもあります。

 地方の時代、地方創生との看板は立派に立てましたが、肝心のメニューが功を奏さず、いまや地方創生は言葉だけとなってしまいました。

 その歪みが、脆弱な財政の小規模自治体を包み込み、結果、目の前のおいしそうな飴を口に含みたくなってしまったということでは無いでしょうか。

 一方、政府は実現不可能な核燃サイクルを未だに国策としています。

 この国策を断念しない限り、法に規定されている高レベル放射性廃棄物(特定放射性廃棄物)は、国内に存在すること無く、従って最終処分場は現実的ではありません。

 最終処分場を建設中のフィンランドと、候補地が決定したスウェーデンは使用済み核燃料の再処理は行わず、使用済み核燃料を金属キャニスターに封じ込め、そのまま地下に直接埋め立てる手法をとることにしています。

 フランスは、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出していますが、フランスの処分の考え方は、国内にフィンランドやスウェーデンのような岩盤地層が無いために10万年単位の「不可逆性」の処分では無く、処分後も自然現象で問題が生じる場合や技術的に無毒性が可能になった場合は取り出すことの出来る「可逆性」の処分場を目指しています。

 しかし、日本は再処理も出来ず、フランス同様の地層しかないにもかかわらず「可逆性」にする方針も持っていません。

 自ら使用済み核燃料の方針を持たず、何とも不確実性の多い中で自治体の住民に判断させようとしています。

 このことはあまりにも無責任すぎると思います。


Copyright(C)高橋とおる後援会 All Rights Reserved.