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戦争は女の顔をしていない

  • 2020年03月15日

 13日、函館に戻る前に札幌駅前の紀伊国屋書店で、スヴェトラーナ・アレキシェヴィッチ原作、小梅けいと作画、速水螺旋人監修の「戦争は女の顔をしていない」を購入しました。

 作品の帯には「ノーベル文学賞を受賞した史上初のジャーナリスト、スヴェトラーナ・アレキシェヴィッチ。彼女が取材した500人にものぼる第二次世界大戦従軍女性たちの証言をマンガ化し、発表されるやいなや大反響を得た作品の、待望のコミックス第1巻ついに刊行。」と書かれています。

 実は、岩波現代文庫(三浦みどり訳)の原作本を昨年購入していましたが、48ページまで読んだところで本棚にしまっておりました。

 その文庫本に掲載されていた、澤地久枝さんの解説には「ソ連では第二次世界大戦で百万人を超える女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った。しかし戦後は世間から白い目で見られ、自らの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった・・・。5百人以上の従軍女性から聞き取りを行い戦争の真実を明らかにした、ノーベル文学賞作家の主著。」と期されています。

 原作は486ページにも及ぶ証言集で、先ほど書いたように最初の48ページでは戦争になぜ、女性が・・・ということが自分の中で十分理解ができていなかったせいで、中途半端になりましたが、マンガで読むと、ソ連という社会主義国の政体の中で男女同権の理想がそれを後押ししたこと、彼女たちは、男性と違って徴兵ではなく自ら志願して戦地へ赴いたこと、そして、愛国心、教育の効果、敵への憎しみ、新国家建設への希望などがその根底にあり、彼女たちが男性と同じように戦争に身を投じることが国のためになるとの心情があったのだろうということが想像できます。

 しかし、戦場は不条理、悲惨、精神の破壊そのものです。

 そして、女性の性そのものが戦争には不釣り合いであることもマンガでは表しています。 9年制の学校を終わり15・6歳のまだまだ幼い少女達が戦場で洗濯兵や看護婦(当時)、そして狙撃兵や高射砲手、戦闘機の操縦、物資輸送の蒸気機関手などで戦争の歯車とされていきます。

 ソ連の戦いは、彼女たちの存在なしには語れないものだと思います。

 しかし、今でも戦争の前線で女性が戦闘をしていた、そして、それが普通であったソ連のことを理解するのには少し時間がかかるかもしれませんが、事実として受け止めるしかありません。

 このマンガは第1巻なので、随時、続編が刊行されるだろうと思います。

 回を追うごとにどのような内容になるのか、そして、改めて読み残した原作を追読してみたいと思います。


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