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尖閣周辺の日中漁業協定

  • 2016年08月19日

 先般のブログで、「稲田防衛相が就任したことに関わり、中国が大挙の漁船と公船が尖閣諸島周辺押し寄せさせた。」と書かせていただきましたが、事は少々違ったようです。

 日刊ゲンダイに掲載されていた、高野 猛氏の「永田町を裏を読む」というコラムに「日中漁業協定も読まずに中国脅威論をあおる愚」という記事が有りましたので、抜粋して再掲します。

 『8月初めから数百隻の中国漁船が、中国海警局の公船と共に尖閣周辺に押し寄せたことについて、日本国内の報道はあまりにも扇情的だ。・・・退職後も霞ヶ関周辺で情報関係の仕事に携わっているもと外交官がこう嘆く「日中漁業協定も読んだことのないような記者が、こういう記事を書いているのでしょうね。

 ご承知のように、尖閣については領有権で日中は折り合わず、従って12海里の領海、その外側12海里の接続水域、さらに200海里の排他的経済水域に至るまですべて折り合わない。しかし、それでは両国の漁民が困るので、97年の日中漁業協定で“暫定措置水域”を設定して、そこでは両国の漁船はお互いに、相手国の許可を得ることなく操業ができ、両国の公船は自国の漁船についてのみ取り締まる権限を持つことにした。今回の事態は、中国側が設定している禁漁期が8月1日までなので、待ちかねた中国漁船がドッと押しかけたと言うだけの話です。中国の公船が大挙押し寄せたのは、「金儲けしか考えない中国漁船が、日本の主張する尖閣領海に乱入するのを取り締まるため」で、中国側は日本にちゃんと通告しています。そういう了解があるから、11日に中国漁船がギリシャ船と衝突して沈没した時も、海保が淡々と救助し、それに中国側が謝意を表明すると言うことが起きるのです。」実際には、海保の活動現場ではこのようなメカニズムが機能しているのに、政府、外務省・マスコミは「今にも中国と衝突か」と中国脅威論を煽ることばかりに熱心・・・』とあります。

 改めて、日中漁業協定を調べますと、

 ▼日本の領土であるが、中国が領有権を主張している尖閣列島の北方に関しては、「暫定 措置水域」の設置で妥協された。(協定第7条)
 ・暫定措置水域内では、いずれの締結国の漁船も相手国の許可を得ることなく操業するこ とができ、各締結国は自国の漁船についてのみ取締権限を有する。

 同水域における操業条件は日中共同漁業委員会が決定する。同水域において相手国漁船 の違反を発見した場合は、その漁船・漁民に注意を喚起すると共に、相手国に対して通 報することが出来る。(第7条の3)

 ・いずれか一方の締結国の漁船が、他方の締結国の沿岸において海難その他の緊急事態に 遭遇した場合には、他方の締結国は、出来る限りの援助及び保護を与えると共に、当該 一方の締結国の関係当局にこれらに関する状況を速やかに通報する。(第9条の1)

 

 となっています。

 まさしく、今回の事例はこの日中漁業協定に沿ったもので、その後、一向にこの問題が政府で取り上げられていないことがその全てだと思います。私も反省します。


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