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実施困難な新任務

  • 2016年11月16日

 政府が15日午前の閣議で新たに派遣する第11次隊に「駆け付け警護」を付与すること決定し、新たにPKO実施計画の変更を決めました。

 この計画の変更部分は、『PKO5原則が維持されている場合であっても「 安全を確保しつつ有意義な活動を実施する事が困難と認められた場合」には政府の国家安全保障会議(NSC)の審議を経て部隊を撤収する 』というものです。

 これまで、PKO派遣5原則はすでに破綻していると指摘されると、その度に「戦闘状態ではなく衝突だ」と苦しい言い訳で過ごしてきましたが、さすがに昨今の南スーダンの状況が緊迫していることを認めざるを得なく、しかし、単に認めることは安倍晋三のプライドが許さないのか、計画変更という名目で、活動を実施することが困難な場合は派遣部隊を撤収する文言を計画に挿入しました。

 しかし、これとて困難な場合の定義が示されておらず、また、駆け付け警護をするにしてもジュバ周辺としており、何をするにも現地で判断するしかありません。

 ハッキリしているのは安倍晋三が自ら責任を負わず、何かあれば現地の指揮官の責任にするという「トカゲの尻尾切り」が用意されていると言うことです。

 日曜日のNHK「日曜討論」では、南スーダンPKOの駆け付け警護について話し合われました。

 この中で、日本ボランティアセンター(JVC)の代表理事である谷山博史氏が、「私たちのようなNGOスタッフが危険に晒された場合の「警護」も想定されていますが、JVCは現場で活動する立場から、駆け付け警護は非現実的である」ことを訴えていました。谷山氏の書いた別の記事によりますと「独立前のスーダン・南コルドファン州において11年に突如内戦が勃発、逃げ遅れたJVCの今井氏は事務局で孤立した。夜間10人あまりの武装集団が事務所に押し入り、今井氏を拘束し、事務所内の金品を略奪していった。武装集団は夜明け前に去っていったが、その間、今井氏が紛争で取り残されたと知っていたはずのPKO部隊が救援に来ることはなかった。救援に来てくれたのは、国連の非武装の民生支援機関だった。PKO部隊は内戦下で部隊を派遣すれば武器を用いることになり、一度武器を使用すれば、内戦の当事者になってしまうことを知っていたのだ。13年の暮れに起こった南スーダンの内戦でも、内戦下に取り残された外国人をPKOは救出しに行くことはなかった。」と書いています。

 それを読むと、7月11日南スーダン政府軍の兵士が、ホテルで数時間にわたり外国援助団体などの複数の女性に集団暴行を加え、金品を略奪した時にPKOの国連南スーダン派遣軍(UNMISS)に助けをもとめましたが、出動しなかったことを思い出します。

 まさしく、この場合でも指揮官の命令で救出に向かい、武力を行使した場合、内戦の当事者になってしまうことが危惧されたのかも知れません。

 そして、ケニアから派遣されていたこの指揮官は、国連の潘基文事務総長から更迭され、結果、ケニアPKO軍は南スーダンから撤退してしまいました。

 略奪などがいつ戦闘になるかも知れないのに、現地の自衛隊指揮官が果たして「駆け付け警護」の命令を出せるのでしょうか。意味のない新任務だと思いませんか?


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