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医療のダンピング?

  • 2009年01月05日

12月の新聞に、札幌のNPO法人が歯科の診療をした後にアンケートを記入してもらい、その労務料として患者の自己負担分を支払うという事件がありました。
NPO法人の理事長と歯科診療を行った医療法人の理事長代行がが同一人物であり、厚労省は国民健康保険法に違反する可能性があるとして札幌厚生局に調査をさせていますが、昨日の新聞には新たに同じ札幌の二つの診療所が
グループホームなど約10施設の入所者約100人に対し、在宅医療における患者の自己負担分を無料にしていたことが判りました。
札幌市は、道内の医師の約半数が集まっている医療激戦地区です。
そのため、患者の確保は開業医の死活問題とも言えることから、今回明らかになった歯科診療を行う法人や在宅診療を行う診療所が、患者の囲い込みを狙って行ったものと思います。
国民健康保険法の第74条は「保健医療機関または保険薬局から療養の給付を受ける者(医療行為や投薬を受けた本人と解すると思います)は・・・略・・・一部負担金として、当該保健医療機関または保険薬局に支払わなければならない」と規定しています。
ここだけ読むと、本人が支払うことになっていますが、現実には未成年者や未就労者などの支払い能力の無い者は保護者等の家族が支払いますし、あるいは、本人と親しい第三者が支払うことも極自然な行為であり、このことで咎められることはありません。
拡大解釈しますと、善意の第三者が支払っても問題ないということへ繋がっていきます。
国民健康保険だけではなく、後期高齢者医療保険や介護保険などの各種医療保険の自己負担分も同様のことが行われる可能性を秘めていることになります。
自己負担分を医療機関が負担することで、国も被保険者も患者も医療機関も誰も損害は生じませんし、患者は自己負担が無くなり、医療機関は患者増で診療収入の不足分を十分穴埋め出来ます。
しかし、このように患者の囲い込みのために医療のダンピングが行なわれると、医療の質は確保されなくなってしまいます。
法自体がこんなことを想定していなかったものであれば、この脱法行為を未然に防ぐために法の整備が必要になってくると思います。


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