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北電の賠償責任

  • 2018年10月07日

 コープ札幌が、胆振東部地震によるブラックアウトの影響で、冷蔵・冷凍庫の使用が出来ず、その結果、取引企業等を含めた被害総額が9億6,000万円に上ると算定、その損害賠償を北電に求めることを理事会で決定したとのことです。

 このことをきっかけに、多くの業界が追随することは避けられないでしょう。

 他のスーパー・コンビニ、飲食業、水産業、酪農業などの食糧関連業界、観光に関わる全ての産業、医療・福祉関連、社員の通勤が不可能となり休業せざるを得なかった企業、各種イベントの中止で損害を被った関係者、数え上げればきりがなく、当然、各家庭の冷凍庫・冷蔵庫の中に保存してあった食品も含まれるでしょう。

 ブラックアウトにより想定される被害額は数兆円とも言われています。

 北電は、顧客と「自然災害における損害賠償については免責される」という契約約款を結んでいるとして、これまで損害賠償に応じたことは有りませんでしたから、これらの賠償を北電が認めるわけもなく、国の検証委員会も今月内にまとめる中間報告では、当初から北電の経営責任に言及することはしない方針です。

 しかしコープさっぽろも、賠償請求の決定に至までには当然のこととして弁護士とも相談しているはずですし、損害額についての和解や損害賠償請求がスムーズに行かない場合の訴訟ということも視野にいれているものと思います。

 今回のブラックアウトについては、その初期から経産省が全面に立ち世耕経産相が北電に対しての指示を行ってきた経緯が有ります。

 当然、我が国のエネルギー供給を所掌する省庁ですから、北電の厚真火発に偏った発電システムについて容認してきた事も有ってのことだとすれば、この損害賠償責任については国の責任も追及されなければなりません。

 しかしながら、検証委員会は責任の判断は国に委ねるとしていますから、その判断は国が行うことになりますが、国は、自然災害であるとし、国も北電にも賠償責任があると認めないでしょう。

 一方、これまでの新聞報道や、有識者の見解は、コストを重視した厚真一カ所への発電の偏重、ブラックアウトを予見しながら対策を取らなかった運営の甘さ、福島原発事故を教訓とした発電の分散化を生かしてこなかった経営陣の怠慢などを指摘していまから、北電のみならず、監督官庁としての経産省もその責任を逃れることは出来ないと思います。

 電力会社は、如何なる場合も電力を安定供給する義務を負っています。

 だからこそ、私たちの支払う電気料金には一定の経営利益分が付加されており、さらに、再エネ発電付加金まで設定され、自分たちが使用する電気料金以上のお金を支払っています。これは他の企業には無いことですし、さらに国によって電源三法による交付金や核燃料処理に関わる負担まで税で補われています。

 したがって「自然災害だから仕方がない」と逃げることは許されずはずもありません。

 北電と経産省は自らの責任において、損害を被った全ての関係者に謝罪すると共に、損害賠償を真摯に検討すべきではないかと思います。


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