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分配はどうなった

  • 2022年05月13日

 国内では、ロシアのウクライナ侵略が原因となって燃油の高騰、小麦の値上げ等が広範に影響し、食料品を中心にガソリン代、ガス代、電気代の他、ありとあらゆるものが値上がりし、国民の生活はどんどん逼迫してきています。

 昨年秋の総裁選に出馬した岸田氏が公約の看板政策として打ち上げたのが「令和版所得倍増」、「金融所得課税の強化」、「分厚い中間層の復活」だったことを皆さんはまだ覚えているでしょうか。

 このうち、「金融所得課税」は打ち出した途端にボコボコにされて失速、他の二つはもはや死語に近くなっているようです。

 10月の総選挙が終了し、12月開催の臨時国会の所信表明演説で岸田氏は、経済成長の果実が社会全体に行き渡っておらず、格差と貧困が広がっていることから、今後は「新しい資本主義」として、「成長と分配の好循環」を推し進めていくことを強調しました。

 成長として①科学技術立国の推進⇒10兆円規模の大学ファンドの運用、デジタル・グ
       リーン・AIの研究開発支援、再エネ促進へ蓄電池の整備、電動車向け電
       池の大規模生産、小型炉技術の実証・核融合開発

      ②スタートアップの支援⇒大企業の株式取得を容易とする税制

      ③デジタル田園都市国家構想⇒地方のデジタル化支援交付金

      ④半導体工場の国内拠点化

 分配として①賃金引き上げ⇒看護・介護・保育で働く人の所得増、フリーランスを保護
       する新法制定、非正規労働者のキャリアアップ支援

      ②企業支援⇒賃上げ実施企業の税制優遇・補助金支援等

      ③子育て環境の整備⇒「子ども家庭庁」の創設で総合的な支援

 等を行う事を説明しました。

 あれから半年が過ぎようとしています。3月末に成立した22年度予算にはその公約が具体的に数字として表れているようには思えませんでしたが、岸田氏は新に「6月までに新しい資本主義のビジョンと実行計画、さらには骨太方針をまとめて参議院選挙後には総合的な施策を具体化する。」と話しています。

 岸田氏の諮問機関として「新しい資本主義実現会議」なるものが設置されて5回の会合が開催されましたが、具体的になったのは「看護・介護・保育従事者に対する9,000円の賃上げ」だけでした。

 成長と分配の好循環と言いますが、既に大企業を中心に内部留保金(利益剰余金)は20年末で対前年度比2%増の484兆3648億円となっており、9年連続で過去最高を更新中となっています。

 この原因は言うまでも無く職員の非正規化や派遣雇用などの人件費の削減と、法人税減税です。したがって、成長は十分に進んだことから後は大胆な分配へのシフトを行えば、循環は緩やかに良い方向へと向かうことになります。

 6月に出される新ビジョンと実行計画が、これまで何十年と国民を欺してきたような「画餅(絵に描いた餅)」とならないように注視していきたいと思います。

 ただ、心配なのは、選挙前(参議院選挙前)にバラ色の施策をぶちあげ、選挙後になれば忘れたように誤魔化すいつもの手を、今度も使うのでは無いかと言うことだけです。


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