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処理水の海洋法流

  • 2020年10月29日

 フクシマ第1原発事故による廃炉処理作業は、牛歩のような進み具合となっています。

 また、ここに来て原発処理水の海洋放出の決定が政府によって行われようとしています。

 政府によると原発敷地内の処理水タンクは2022年頃には満杯となるとし、水蒸気として空中に放出するか、それとも海洋放流するかの二者択一に迫られていましたが、結局は海洋放出にする事に大きく傾いています。

 9年前の事故後から原子炉内へ流入した地下水や燃料デブリの冷却に使用した水の安全な処理が問題になり、政府は応急的な処理として汚染された地下水等を「ALPS(多核種除去装置)」で処理しましたが、トリチウムが除去できないまま敷地内のタンクに処理水を貯蔵してきました。

 政府や東電はこれを「トリチウム水」と呼び、「トリチウムは、三重水素とも呼ばれ、水に近いことか人体には影響が少ない」とし、海洋放流を主張してきましたが、実は、その処理水にはトリチウムだけではなく、「ヨウ素129」や「ストロンチウム90」などの放射性物質が含まれていたことが判明、政府はこれら放射性核種を二次処理をして基準値以下にすると説明していましたが、これまでの東電や政府の対応を見たときに、とても信用する事はできません。

 また政府は、事故前の2010年にも2.2兆ベクレルのトリチウムを海洋放出してきたが人体や生物には問題が無かったと説明しています。

 しかし、今の処理水は事故前である2010年の約400倍となる約860兆ベクレルが含まれており、まったくケタが違いすぎます。

 カナダ原子力委員会(AECD)が、1991年に「新生児死亡率とトリチウムの相関関係」について、ピッカリング原発の建設地とその周辺の住民を調査したところ、その一帯ではダウン症の発症率の増加がみられ、AECDも小児白血病との相関関係があることを報告しています。

 風評被害も大変な問題ですが、カナダの例にもあるようにトリチウムによる健康被害、とりわけ食物連鎖による母体から胎児への影響も重大な問題です。

 さらに、ヨウ素129、ストロンチウム90の人体や海洋生物への影響も懸念されます。 政府はこの9年間、タンクによる応急処置以外に何をしてきたのでしょうか。

 当時、地下水の流入を防ぐ画期的な手法として、技術的に未完成な「凍土遮蔽壁」を導入しました。

 まずは海側を先行させて、次に山側に敷設、地下約30mの深さまでまいせつした約1,500本の廃刊に零下30℃の冷却剤を流し込むことで周辺の土を凍らせ、建屋内への地下水の流入を遮蔽し、デブリに接触することによって発生する放射性汚染水の抜本的な削減を見込んでいましたが、その効果も期待していた程ではありませんでした。

 この凍土遮蔽壁には、当時で約345億円が投じられました。

 結局、地下水の流入量は若干減少するものの抜本的な解決策とはならず現在を迎えています。

 そして今、海洋放流が行われようとしています。それも、来年の東京オリンピックが終了した22年から(開催されるかどうか未定ですが)となっています。

 原発はアンダーコントロールされていると大ボラを吹いた安倍晋三氏は首相を辞任しました。

 いずれにしても無責任極まりない政府ですが、海洋放流への条件は、人体や生物への影響が無く、風評被害の全責任を負うということです。

 先般、政令指定都市の所在する全国13都道府県議会議長会が開催されましたが、この中でも、千葉県議会から「フクシマ原発処理水に就いては拙速な処分方法の方針を決定しないこと及び徹底した風評被害対策を求める意見書」が提出され、全会一致で国に求める事になりました。

 この問題も、福島県だけの問題ではなく、北海道を含む太平洋沿岸の漁業者全体の問題であり、やっと海外におけるフクシマ原発事故による魚介類の風評被害が漁業者の努力で下火になってきている時に、水泡に帰すような対応は厳に慎まなければ成らないと思います。


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