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公立・公的病院の必要性

  • 2020年11月11日

 この状況においても、政府は「病院の再編・統合」を行おうとしています。

 全国知事会など地方3団体が政府と話し合う会合が開かれ、この中で全国知事会・社会保障部会の平井伸治鳥取県知事が新型コロナウィルス対策を優先し、再編・統合の結論を出す時期を決めずに大幅に延期し、地方医療体制を見直すように政府に申し入れた事を公表しました。

 厚労省は、昨年9月に道内54カ所を含む全国の公立・公的病院440カ所の入院数、手術数、外来数の他、経営状況等を自ら勘案し、ベッド数の削減や診療科目の見直しなどの他、地域に重複する診療科目の再編、更に他病院との統合などを積極的に促す事を求め、その判断を今年の9月までに報告することとしていましたが、今般のコロナ禍における公立・公的病院の果たす役割を考慮して、時期を延期することにしていました。

 5日には厚労省の「地域の医療体制について話し合う作業部会」が開催されましたが、病院団体の委員から「拙速だ」という意見が出された他、「どの医療機関がどのような機能を果たすのか、しっかり協議しなければ方向性が見えない」、また、「コロナ拡大で悪化した病院の経営状況のデーターも踏まえた検討を」など、更に議論を深めるべきだという意見が相次いだと道新が報道しています。

 コロナ禍が無かった昨年の9月に唐突に出された厚労省の思惑でしたが、その頃からも「公立・公的病院が地域に果たす役割や地域医療体制について厚労省は現場の実態を分かっていない」など、地域の医療関係者だけではなく、医療行政を担う自治体からも厚労省への異論が続出していました。

 そして、今、コロナ禍において民間病院では受け入れ難い感染症の患者を受け入れているのは、まさしく公立・公的病院です。

 採算よりも、必要な医療を公的な使命で行う事が求められるのがこれらの病院ということです。

 しかし、一方で、受け入れてきたために医療スタッフに大きな犠牲が求められ、疲弊し、病院のベッドは常に空けていなければならず、経営にも甚大な影響があり、その赤字分は自治体が繰り入れしなければなりません。

 コロナ禍だけでは無く、平時においても地域に必要な不採算医療を担う公立・公的病院の経営は厳しさが続いています。

 そのことを十分に理解していないような、再編・統合は無理筋というものではないかと思います。

 例え、コロナ禍が収束しても、このことを教訓に、新たな視点での地域医療構想が求められるのではないかと思います。


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