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ロシアの指摘

  • 2015年05月20日

 京都精華大学専任講師:白井 聡氏が「週間金曜日」に連載している「戦後の墓碑銘」に、ロシアのプーチン大統領がクリミア半島併合の際に核兵器の使用を検討したことに、広島・長崎の両市長が抗議を申し入れ、それに対する返答がなされたことを掲載していました。

 その抜粋ですが、「ロシアは核拡散防止条約体制の擁護者であり、核兵器の無い世界を目指している」という前置きをし、

 《米国の一方的なミサイル防衛システムの開発や宇宙武装の脅威など、戦略的安定に悪影響を与える極めて破壊的な諸要素に対し、国際社会の注意を喚起しようとロシアが声を上げていることを、残念ながら貴台は見落としていらっしゃるようです。

 また、日本が何処の国の「核の傘」に依存しているかはよく知られています。このことは、貴台が的確に表現されているように、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という言葉で表現されています。当然、第2次世界大戦により70年前に3千万人が犠牲となったロシアや旧ソビエト連邦の国民は、どれほど平和が尊く貴重であるか熟知しています。

 市長様、貴台の書簡には、70年前、どの国が実際に広島と長崎に核爆弾を投下したのかについては言及がありません。しかし、それは世界中で知られています。私が思いますに、この国こそ貴台の「抗議」の対象ではないでしょうか。》 という内容ですが、この返答について白井氏は、ロシアが言いたかったのは、

 「あなた方は歴史的体験に基づき核兵器を嫌悪すると言いながら、破壊的軍事戦略を実行する国家に100%付き従う政府を現にずーっと支持してきたではないか。一体あなた方のどの口が核兵器を批判できるというのか?あなた方は平和主義者を装っているが、真実は恨むことさえできない救いがたい臆病者であり、その臆病さを利用する度し難い卑怯者だ」ということではないかと論評しています。

 原爆投下さえも、国体護持派にとっては原爆による犠牲は国体を護持した形で敗戦を可能にしたものと受け止め、元久間章生防衛大臣もこの受け止めに沿って「しょうがない」ものだったと語り、そして、その国体が国民の選択により今も続いています。

 ロシアは日本国民の選んできた道の矛盾を鋭く指摘し、断罪していますが、この事実を無視し続けることはもはや出来なくなってきていることを読み取らなければなりません。

 私たちはこのことを認識し、本気で戦後レジームを凝視しなければ、いつまで経っても日本の原爆被害者の言葉は世界に響かないのではないかと思いました。


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