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ブラック・ボランティア

  • 2021年05月25日

 五輪の開催に向け、もう一つの主役であるボランティアの方々が相次いで辞退を申し出ています。

 組織委員会では、東京五輪の運営を手伝ってもらうために各地の競技会場や選手村で活動する大会ボランティアを8万人募集、さらに、競技会場がある全国10自治体が駅や空港で道案内等を行う都市ボランティアを4万人募集しましたが、現在で大会ボランティアが約1,000人、都市ボランティアでは約1,900人の辞退者が出ていることが道新に掲載されていました。

 既に、海外の観戦者の入場が無くなったこと、今後、国内も無観客となれば、まずは都市ボランティアの辞退者が大幅に増えることが想定されます。

 さらに、海外からの通訳ボランティアの方々も、入国に関する規制が大幅に厳しくなることから辞退を申し出る方も出始めています。

 さて、組織委はボランティアの方々に対し、どのように配慮しているのかと言えば、かなりお寒い状況であると指摘せざるを得ません。

 道新では、文教大の二宮雅也准教授が<組織委がまとめた感染症対策の「プレーブック(規則集)」にボランティアに関する記載が無いことを問題視。「組織委や政府は辞退急増に対する危機感が足りない。参加者の不安に寄り添うケアと情報発信の強化が急がれる。>という指摘を掲載していました。

 先ず、ボランティアは基本的に無償です。

 また、大会ボランティアの方々は、以前にも指摘しましたが、65歳以下の方が大部分を占めており、この方々は優先的にワクチン接種が行われていません。

 先般、政府も五輪参加選手については、ワクチンの優先接種を行う事を明らかにしましたが、大会ボランティアや開催自治体の都市ボランティアは、選手と接触する機会が多く、選手が優先的に接種を行うのであれば、ボランティアも同様の措置が執られるべきです。

 また、週刊金曜日によると、ボランティアの方々が着用することを義務づけられている「ユニフォーム」と、アクレディテーションカード(資格認定証)を所定の場所まで取りに来るようにと連絡メールを送付した事が掲載されています。

 場所は、東京都六本木のTOKYOーUACビル、北海道札幌市、宮城県仙台市、福島県福島市、茨城県鹿島市、静岡県沼津市、の全国6カ所で、自費で受付期間中に取りに行かなければなりません。

 東京都や札幌市は緊急事態宣言中、仙台市は蔓延防止等重点措置が解除されて間もない地域です。送付すれば済むものを、わざわざ取りに来ることを義務化しています。

 また、ボランティア活動日のシフトも一方的に送付されてきたといいます。

 当然のごとく、ボランティアは競技以前の準備から競技終了後の後始末、翌日の準備など、裏方の仕事も含まれますが、早朝、深夜等に関わる個人の都合などは聞く耳は当初から持ちません。

 ボランティアがいなければ、観客の有無にかかわらず運営に支障を来すのは明らかですが、そのボランティアへの配慮は微塵も感じられません。

 誰にも経験できない貴重な経験を、生涯の思い出に重ねることを求めていたボランティアの方々は、この世界的大興行の使い捨てとされてしまうのではないでしょうか。

 まさしく、「ブラック・ボランティア」としか言いようがありません。


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