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タバコについてのお話

  • 2019年09月17日

 WTOで提案された「タバコ規制枠組み条約」という条約が2005年2月に40カ国で批准され、その後、2017年には181国が参加、日本も2005年のスタート時から批准しています。

 タバコの害については、世界のタバコ産業が「未だタバコの害については科学的に証明されていない」と主張しますが、この「タバコ規制枠組み条約」の特徴は、タバコの健康被害についての科学的証拠によって作られていることです。

 条文の前文には、

・タバコの消費及びタバコの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすこと

 を科学的証拠により明白に証明されていること(能動喫煙と受動喫煙の健康被害)。

・紙巻きタバコ及びタバコを含む他の製品が依存を引き起こし及び維持するような高度の

 仕様となっていること(タバコの依存性)。

・紙巻きタバコから生じる煙に薬品活性、毒性、変異原性及び発ガン性があること(タバ

 コの煙の有害性と発ガン性)。

 を参加国が認識することが規定され、このことによって参加国はタバコの有害性、健康被害、依存性を国として公式に認めることになります。

 また、タバコ産業についても参加国は以下の2つの必要性を認識するように規定されています。

・タバコ規制のための努力を阻害し又は著しく損なうタバコ産業活動に警戒する。

・タバコの規制のための努力に悪影響を与えるタバコ産業の活動について知らされる。

 とし、タバコ産業の研究不正や政策への干渉を踏まえて、この文が設けられました。

 第4条基本原則として

・あらゆる形態のタバコ製品について、その使用の開始を防止し、その使用の中止を促進

 し及び支援し、並びにその消費を減少させるための措置をとる必要性。

つまり、タバコを吸い始めることを防止し、喫煙者の禁煙を支援する、さらに消費を減らすということを基本原則としています。

 さて、それでは分煙ではだめなのでしょうか。

 「タバコ規制枠組み条約」のガイドラインでは、次の原則が書かれています。

・「100%の無煙環境」以外のアプローチには効果が無い。

・技術工学的アプローチではタバコ煙にさらされることから保護できない。

・屋内の職場及び屋内の公共の場はすべて禁煙とすべきである。

・立法措置が必要である。

・自由意志による対策には効果が無い。

 米国暖房冷凍空調学会という暖房・換気・空調・冷凍の専門家(学者、メーカー、企業関係者)が参加する団体があり、この学会が2010年、受動喫煙を防ぐ技術的検討結果を報告しましたが、結論は、

①屋内で受動喫煙の健康リスクを効果的になくす唯一の方法は、屋内を禁煙にすることで

ある。

②建物内で完全に分離独立させた喫煙室によって受動喫煙の制御は可能だが、喫煙室で働

 く人の健康被害を喚起では防げない。

 というもので、空調の専門家でさえサジを投げるほどタバコの煙は除去できないという結論です。そして、問題なのは、「働く人の健康被害」で、どこの場所(喫煙室)でも喫煙が可能であれば、そこで働く人に害が及ぶと言うことです。

 しかし、この条約には抜け穴があります。

 多くの国が批准しやすくするように、主要な条文に「国内法に従い」という限定条件が付されています。

 このことによって、日本の「健康増進法」や「労働安全衛生法」はどちらも努力義務で、罰則がありませんでしたが、19年7月から健康増進法が改正され、学校や病院、行政機関が敷地内禁煙になりましたし、来年4月からは民間企業や飲食店も原則屋内禁煙となり罰則も科せられます。

 しかし、ここにも抜け穴があり、「原則」という文字が入りました。それは、「喫煙専用室」または「指定タバコ専用喫煙室」に限り喫煙可能となったばかりではなく、既存飲食店でも100平米以下は、喫煙可能の表示をすれば認められるというものです。

 中央には自民党の議員が260名も名前を連ねる「タバコ議連」が大手を振っていますし、JTの筆頭株主が財務相(個人ではなく)で、発行株式の33.35%である6億6,692万6,200株を所有し、17年の株式配当は993億6,966万8,000円となっており、第2位の日本マスタートラスト信託銀行の所有株式は3.25%で財務相の10分の1、実質的にJTは財務相の管理下にあるということになり、当然、天下りもあります。

 さらに、タバコ税は年間2兆円にものぼります。たばこ税は国と市町村に折半され、その使途が限定されない一般財源に入るため、自治体にとっても「おいしい」税収となりますから、愛煙家はこのことも禁煙しない理由としています。

 また、タバコは「タバコ事業法」によって維持されており、その第1条にはこう書かれています。

 第1条:我が国タバコ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国

     民経済の発展に資する事を目的とする。

日本においてタバコの害の無い社会を目指すには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

※参照~国立ガン研究センター・ガン統計総合解析研究部長:片野田耕太著

    「毒なのか薬なのか・本当のたばこの話をしよう」


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