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ウレシパクラブの取り組み

  • 2018年04月06日

 札幌大学では、アイヌ文化を育てる事に力を入れており、学内に「ウレシパクラブ」を設立、先住民族であるアイヌの歴史・文化・言語を学生達と研究・実践しています。

 過日、北海道議会の議員研修で、その札幌大学でウレシパクラブを主宰している本田優子教授の講演を聴く機会を得ることが出来ました。

 北海道新聞では、北海道命名150年を一つの節目として、道内におけるアイヌ民族の「今」を特集していましたし、最近では3月に「こころを揺らす」という特集でウレシパクラブの学生達が、ニュージーランドを訪問し、先住民族「マオリ」の方々との交流を掲載し、自らアイヌ民族であることに迷いを持っていた学生を含む札幌大学の学生達が、ニュージーランドにおける先住民族への政策や、マオリ自身が自立に向けて努力している姿を目の当たりにして感動していたことが、その行間から読み取ることが出来、講演や記事によって、札幌大学のこれまでの努力と今後のアイヌ政策への示唆をいただきました。

 昨年の5月、北海道とハワイ州、北海道議会とハワイ州議会が友好・提携を結びましたが、その時に私たちは、ハワイ州に23カ所有るハワイ語のイマージョンスクール(学習する全てがハワイ語で行われる州政府教育省管轄の公立校)の一つであるオアフ島の「クラ・カイアプニ・アヌエヌエ校」を訪れました。

 このアヌエヌエ校はオアフ島で唯一、幼稚園から高校3年生までを対象としているイマージョンスクールで、約400人の生徒が毎日普通教育の他にハワイの歴史・文化・言語や習慣・ハワイ式の礼儀作法などを学びます。

 1898年、ハワイが米国に併合されるとともにハワイ語は禁止され、英語を強要されました。

 その後、ハワイ語を日常生活で使用することもなくなり、消滅言語の危機にまで追い込まれましたが、1970年代からその見直しが行われ、1978年にはハワイでの公用語とまでなり、今ではハワイ語だけではなく、民族としてのアイデンティティーを取り戻す政策となっています。

 翻って我が国では、アイヌは松前藩を中心とする幕府によって土地や食糧を奪われ、労働力として強制連行されるなどの搾取と抑圧によって侵略され、明治に入っては、日本政府が「土人(アイヌ)を教導する」という名目でアイヌ語を禁止し、日本国民に編入、民族としての習慣も禁止、和人名を強要し、アイヌの公式呼称を「旧土人」として蔑んできました。

 また、アイヌ語は文字が無く、口述でしか伝えられ無いこと、さらに、過去からの差別で自らアイヌと宣言できないことなどから、その言語の伝承の努力は極々一部の中だけで受け継がれてきました。

 世界各国では、少数民族への国家的な支援が行われています。

 先程のアヌエヌエには、私たちと共に高橋知事も同行して、ハワイにおける民族政策を目の当たりにしましたし、日本におけるアイヌ民族のアイデンティティー回復は、北海道がその中心を担う事が必要と考えます。

 幸い、2020年には白老町に、国による「民族共生象徴空間」が建設され、その意義として「先住民族であるアイヌの尊厳を尊重し、我が国が将来に向け、多様で豊かな文化や異なる民族の共生を尊重していくためには、アイヌの歴史・文化等の国民理解の促進やアイヌ文化の復興・発展に関する中心的な拠点が必要である」と有ります。

 まさしく、道民である私たちがアイヌを理解し、これを機会にアイヌの文化継承だけではなく、幕府や政府が行ってきた歴史に目を背けず明らかにし、そして消滅の危機にある言語の復活を具体的に進めていかなければならないと思います。


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