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やんばるの森

  • 2018年08月28日

 縄文文化の世界文化遺産登録を目指し、地元でも活発な活動を続けてきましたが、ようやく今年の7月19日に開催された文化審議会において、世界文化遺産登録に推薦する国内候補に選定されました。

 この時からも、ライバルは世界自然遺産登録を目指す奄美大島、徳之島、沖縄県北部及び西表島からなる「やんばるの森」でしたが、ご存じの通りこの「やんばるの森」について5月に政府が推薦を取り下げてしまいました。

 地元では、登録への期待が大きかっただけに多くの関係者がショックを受けています。

 「やんばるの森」の推薦地域には、先程述べました沖縄県北部入っており、その沖縄北部には広大な米軍北部訓練場があります。

 これまで政府は、他の推薦地域と同様の生物多様性を有し、生態系の連続性のカギも握る北部訓練場を、政府が管理できないことを理由として推薦地域からすっぽり外して申請をしていましたが、日本も加盟するIUCN(インターナショナル・ユニオン・フォー・コンサヴェーション・オブ・ナチュレ・アンド・ナチュラル・リソースズ=国際自然保護連合)がこのことについて勧告を行いました。

 その内容は、2016年に米軍から返還された約4,000ヘクタール以外の未返還地域について、「景観の連結性や主要な種の重要な生息地を支えており、推薦地域に対する事実上の重要なバッファゾーン(緩衝地帯)として機能していると認識し、内部視察も必要である」と強い関心を示しています。

 日米政府は、16年に北部訓練場の自然環境保全に関する合意文書を交わしており、「両政府が推薦地保全の重要性を共有、隣接する北部訓練場も含めマングースやノネコの捕獲などの保全事業に取り組み、登録やモニタリングなどの情報共有、意見交換をする」と記されていますが、筑波大学・世界遺産学の吉田正人教授は「これはあくまでも基本的な合意であって、IUCNが求めている「包括的管理計画」の中に、米軍の役割などを盛り込めるかが問われている」と指摘しています。

 また、沖縄大学・桜井国俊名誉教授は「やんばるの森から川、河口のマングローブ、そしてサンゴ礁の海までを一つのつながりとして推薦していたら生態系基準にも合致していたはず。なのに、『米軍基地があるから』と北部訓練場や新基地が進む辺野古・大浦湾を避けて、やんばるの尾根筋だけを申請した。こうしたやり方では本来守るべき自然を守れない」と話し、基地の機能制限や全面返還まで視野に入れて米側と協議するように求めています。

 北部訓練場には、東村高江の住民の反対を押し切って設置した6箇所のヘリパッド、そしてサンゴ礁を埋め立てジュゴンなどの生息地を奪ってしまう辺野古新基地の存在が大きく横たわっています。

 常に騒音に悩まされている高江地区、様々な米軍機や空母などの他に弾薬庫などフルセットの基地が予定されている辺野古、自然環境とは相容れない施設の撤去無しに世界遺産、いわんや希少動植物の生息する「やんばるの森」を守ることにはなりません。


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