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お試し改憲の内実

  • 2016年03月14日

 安倍晋三が13日の自民党大会で、破綻したアベノミクスの成果(?)を滔々と語り、夏の参議院選挙の争点を、憲法改定から経済政策を重点にし、憲法改定を目くらます作戦に出るようです。

 今日の朝日新聞では、これまで自民党は直近の選挙において、国論を二分するような政策を避け、公約の隅っこに少しだけ芽だしをしておいて、選挙後にやりたいことを打ち出し、数の力で実現をしてきたという例を記載していました。

 ①13年7月の参議院選挙 : 集団的自衛権の記載なし → 集団的自衛権の行使を認 める閣議決定。

 ②14年12月の衆議院選挙 : 安保法制関連の記述は5行だけ → 通常国会を延長 して安全保障関連法案を提出、成立。

 そして、今年の夏の参議院選挙では、先程も触れましたが経済を前面に出して選挙を行い、選挙後には憲法改正への動きを加速させるというものです。

 今回は、連立を組む公明党が支持母体の事を考慮し、憲法改正ではなく介護や医療、子育てなどを求めたこともあり、また、自民党内部からも憲法改正では有権者の支持を得ることは難しく経済中心にすべきとの声が大きくなったこともあるようです。

 

 さて、安倍晋三が狙っている「お試し憲法改定」で、まず手を付けようとしているのが「緊急事態条項」です。

 しかし、この緊急事態条項について過去にはこんな議論がありました。

 同じく、朝日新聞によると、59年の伊勢湾台風を受け、災害対策を体系化した基本法が必要との危機感から、当時の自民党政府が、国民の私権を制限する緊急政令の制定を内閣に認める「災害緊急事態」を盛り込んだ基本法を国会に提出しようとしましたが、憲法が、国会を経ない緊急政令を許すことを問題とし、法案を成立させる際に災害緊急事態条項を削除、改めて、憲法学者の意見を参考にして「災害対策基本法」再提出し、可決したとのこと。

 この基本法での私権の制限は、災害時に不足が想定されるガソリンなどの譲渡制限や価格統制など国民の財産権にかかわる3項目に限られています。

 しかし、自民党憲法草案では国の指示に対する国民の遵守義務が明記されており、「思想・信条は最大限に尊重される」とありますが、逆に言えば、制限の対象の中にあるということになります。

 あの東日本大震災での教訓を基に、被害のあった自治体首長は「被災自治体は、政府の権限を強める事では無く、むしろ、地元により多くの権限を与えて欲しいというのが被災地の意向である」と日弁連の調査に答えています。

 まさしく、何のために憲法を改定し災害に備えるのかまったく示されていない以上、一番危険な緊急事態における権限の集中は、十分に検討しなければならないものではないでしょうか。


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